4. そして、あの事件が

1) 9月11日

2) 日米双方で

3) 予定通り実施へ

4) 記念演奏会

   こうして、旅行日程の詳細、参加者の確定がすすみ、ポートランド側との具体的な詰めをすすめていた矢先に、衝撃的な事件が起った。 そしてこのことが、1年がかりで進めてきた計画を大きくゆさぶることとなった。
 
1) 9月11日

 2001年9月11日の朝(米国時間)、ニューヨークを中心とした同時多発テロが発生、米国は想像を絶する悲惨な被害を被り、信じられない数の犠牲者を出すこととなった。
 事件の模様は、発生当初からテレビで実況生中継され、我々もその悲惨さを目の当たりにした。 この事件は、まさに航空機のハイジャック、激突という形で引き起こされたことから、1ヵ月半後に近づいた我々のアメリカ演奏旅行実施に対する大きな不安を招くこととなった。
 発生当初は状況をながめていた団員からも徐々に不安の声が高まり、ついには不参加を表明するメンバーがでてきたのも無理のないことと思われた。

 一方、事件発生直後、コロンビアシンフォニー・ベッツィ事務局長へ、お見舞いメールを送ったところ、「我々は悲しみの底にいる。し かし演奏会は別。予定通り実施し音楽という共通語で平和をうたいあげましょう」との返事が戻ってきた。そしてポートランドの安全性も問題ない、予定通り準 備を進めている、とも付け加えられていた。
 

2) 日米双方で

 事件の影響は、しかし我々札幌から米国へ渡航する側からすると大きく、さらに団員をとりまく家族、勤務先、学校などからの反対の声も日増しに大きくなっていった。

 ともすれば、9月前までは、札幌側の意気込みが大きく、準備もかなり具体的に進めていたが、ポートランド側は10月のコロンビアシンフォニーの新シーズンスタートの準備等もあって、合同演奏会の準備状況がいまひとつ見えてこない状態であった。
 しかし9月になったあたりから、米国側の準備作業が日に日に明確になっていき、気運も一気に高まっていく様子がうかがわれた。
 そんななかで、この事件が発生してしまった。
 米国側は、これを機に"皆で一致協力して何かをなしとげよう" といった風潮が増し、我々の訪米を心待ちにする気持ちがメールのやりとりを通してひしひしと感じられるようになっていった。 これとはうらはらに日本側は、あまりにも危険な状況での訪米となることが各方面から指摘され、実施を危ぶむ、いや中止を求める声も団の内外からきこえてくるようになっていった。
 

3) 予定通り実施へ

 不参加を申し入れる団員は1名、また1名と増えていった。
 9月頭までで50名の参加(そのうち47名が団員)申し込みがあったが、9月末までには数名のメンバーが不参加となった。
 運営委員会としても、本当に実施できるか、このままさらに不参加者が増えていった場合、何人なら実施するのか...といった議論を重ねていった。
 しかし、

   ・少なくともポートランドプロジェクトメンバー、或いは運営委員は参加の意志を示している
   ・個別に聞いても20人以上は行くであろうことが見えてきた
   ・ポートランド、札幌双方の準備状況、及び関係各機関の対応も考えると中止の影響は大きい

  といった観点から検討した結果、例え人数が大きく減っても今回のプロジェクト(米国側は当初からプロジェクトという表現を使っていたが、この時ほどこの言葉が力強く響いたことはなかった)を実施することを決定した。

 その後も不参加の声は減らず、最終的には50人が38人になった。
 しかし、この事態は誰が責められるものでもなく、本当に信じられない出来事が発生してしまったため、としかいいようがないものであった。

 コロンビアシンフォニーに対し参加状況を説明したところ、快く理解していただき、応援メンバーの増員もお願いすることができた。 これにより演奏会での札フィル団員の不足パートを補ってもらい、当初予定通りの曲目を演奏するめどがたった。

 団員のキャンセル料等も含め、毎日、経費の変動を計算したが、旅行社のはからいもあり、追加負担をおこなわずに実施可能のめどもたってきた。

 さらに、この頃までに、コロンビアシンフォニー側より、スクールコンサートの学校が確定した旨連絡があった。
 ポートランドから車で30分ほどのワシントン州バンクーバーにある、マーシャル小学校(Marshall Elementary School)であった。
 これにより、演奏者人数は少ないが、是非学校での演奏会を実現しようと、曲目の最終確定をおこなった。(スクールコンサートでは、合同演奏会とは異なる曲目を用意した)
 

4) 記念演奏会 (2001/10/20)

 演奏旅行出発に向けた、壮行の意味もこめた「ポートランド演奏旅行記念演奏会」が10月20日、ちありあホールにて開催された。
 当日は、米国での演奏曲目と同じ内容を、中田昌樹氏の指揮で演奏、アンコール曲も予定していた曲を披露した。
 また、当日のプログラムには、"演奏旅行日程""米国側指揮者、及びオーケストラの紹介"を掲載し、市民の皆さまに今回の主旨ともどもご理解いただけるよう配慮した。

 なお、入場券収入の一部をポートランド会計へ繰り入れさせていただいたが、それ以外にも会場設置の募金箱にたくさんの支援金をいただいた。

 なにより喜ばしかったことは、ポートランド演奏旅行参加者だけではとても足りない当日のステージを、参加しない団員が積極的に応援、一緒に演奏できたことであり、このことは今回の演奏旅行が札フィル全体としての行事であることを示すに十二分であった。

   [演奏曲目]

     ・「ザンパ序曲」(エロール)
     ・「マイスタージンガー前奏曲」(ワグナー)
     ・「交響曲第五番」(チャイコフスキー)

     (アンコール) さくら変奏曲~ラプソディより

 なお、プログラムに先立ち、同時多発テロの犠牲者を追悼し、バッハのアリアを演奏した。この曲は、ポートランドでの演奏会でも同様に最初に演奏された。

最新の演奏会情報

【11月 7日】長沼町演奏会
【1月30日】第16回ファミリーコンサート

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