今後に向けて
1. 演奏旅行を振り返って
3年前の最初の演奏旅行では、足掛け2年余りかかった準備期間も、今回は約1年前からの調整、折衝で方向性が見え、現地の様子もある程度わかっていたこともあって比較的順調に準備を進めることが出来た。
しかし、3月に下打合せをおこなってから、米国側の準備の様子が見えてこない局面があり、一時計画内容の再確認をおこなったりした。
前回も経験したのだが、米国流の考え方、準備の仕方があり、"とにかくやれるところまで努力してみて最大限の結果を導けるよう頑張る。それでもだめならなんとかやってみる、最後は絶対うまくいく。"といった精神?のようである。
一概に日本の実情には合わないとは思うが、やれるところまでとことんやってみる、というのは何にでも通用することではないだろうか。今回も感心させられた一面ではあったが、遠い札幌にいて見えない部分については気がかりではあった。
そうした中で大きな意義を持ったのが、直前の10月30日に開催した札フィル第38回定期演奏会であった。
札幌市の後援をいただき"札幌市・ポートランド市姉妹都市交流45周年記念"と銘打ってキタラで開催した演奏会には、1週間前からOPACO音楽監督のシンディ女史が来札、ゲストコンサートミストレスとして一緒に練習を重ね、本番に臨んだ。
演奏会が無事終了し、ポートランドに戻ったシンディ女史の影響であろうか、とにかく急ピッチで米国側の物事が決まっていき、我々にも情報がタイムリーに送られてくるようになった。後できいたところでは、たまたまその時期に米国側でもさまざまなことが明確になってきたようではあるが、いずれにせよシンディ女史に来ていただき札フィルの状況および11月の訪問にかける意気込みを十二分に感じ取っていただき、また札幌の素晴らしさを知っていただけたことは大変意義があった。
こうして、いよいよポートランドへ向かうこととなった。
前回の経験もあり、また参加人数も比較的少なかったため、自分たちで旅行を実施したことは、結果として費用的にもまた効率的にも良かった。
そして、OPACO/OPAYCOはアマチュアオーケストラであり、皆非常に気さくですぐ打ちとけられ、練習を進めることが出来た。プログラム曲目の前半・後半でシンディ女史と中田氏で指揮を分担し、それぞれを経験できたことも双方のオーケストラにとって極めて有意義なことであった。合同練習は2回だけで、時間的にも十分なものではなかったが大変充実した練習となり、予定時間を越えて最後の最後まで指導・調整がおこなわれた。余談であるが、札フィルメンバーのホテル/練習場間の移動は、スクールバスをチャーターしたが、映画などで見るあの黄色くて長いボディーのボンネットバスに乗るという珍しい経験も出来た。
時間的余裕は無かったが、本番当日もOPACO/OPAYCOおよびボランティアメンバーの前夜からの努力で準備も整い、予定通りリハーサルをおこなった。
本来ステージを持たない部屋に簡易的とはいえ、100名のオーケストラが載るステージを設置し、さらに600を超える客席が準備され我々も安心して本番を迎えることが出来た。演奏会も共に楽しみながら演奏が出来、非常に友好的な形で進められ、終演後のレセプションでも大いに交流を深めることが出来た。
今回は、米国側オーケストラも若い団員が多く、活気があり、札フィル団員とも容易に融合できたと思われ、こうしたつながりが今後の姉妹都市ひいては両市・両国の親善交流に結びつくものと確信した。
また、ここまで至ることが出来たのは、ポートランド札幌姉妹都市協会(PSSCA)および札幌市、ポートランド市、そして関連する組織、団体、企業の皆様のおかげと、あらためて感謝申し上げたい。
とりわけ伊藤組USAの中澤氏には計画当初より献身的なサポートをいただいたことを申し添えたい。
そして5年前の計画当初からご指導、ご助言いただいている中田昌樹氏に心からお礼申しあげる。
2. 今後に向けて
今回の姉妹都市交流45周年記念演奏会の成功は、3年前の親善演奏会およびその準備段階から数えると5年余りの歳月の中で熟成して来た両市の音楽交流、市民交流の延長線上にあるといっても過言ではない。
すなわち、ポートランドでの親善演奏会開催だけでなく、演奏者の相互訪問やホームスティ、さらには札幌での関連演奏会や行事への参加など、札フィルはこの間多くの交流活動を推進してきた。
また、こうした活動を通じて、演奏面だけにとどまらない多くのことを吸収してきたが、こうした中で札フィルも一段と成長し、団員数も伸びてきた。
しかし、ここまでの活動ができたのも、日米双方の関係者の皆様のおかげだと考える。
特に札幌ポートランド姉妹都市協会の皆様には本当にお世話になってきたが、こうした支えが無い限り我々の交流活動はできなかったであろう。
我々は、これらのご恩を決して忘れてはならないが、さらには少しでもお返しできることがあればそれらをお手伝いしていきたい。
札フィルのポートランド演奏旅行は、今回でひとつの区切りがついたように思われるが、今度は、ポートランドのオーケストラに是非札幌へ来ていただき、キタラで合同演奏会が出来ればとも考えている。
そしてこうした地道な活動を続けていくことにより、次なる大きな目標に向かって進んでいきたい。
札幌市とポートランド市との姉妹都市交流は全国でも何百とある海外都市との姉妹都市交流の中でも非常にうまくいっている例、とのことである。
この45年間、諸先輩方が培ってきた姉妹都市交流をさらに進め、市民レベルの友好の絆をより強いものにしていきたい。 そうした目標を常に意識しながら、今後さらに活発な活動を続けていくつもりである。
